山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

全くダメだった・・・

11月に入っても随分と温かくて、冬は来ないんじゃないかと思ってしまいます。

昨日は市日でした↓

広葉樹もいくらかあったのですが、全く手出しができませんでした。

勝てない勝負は乗らない、貧乏人の性(さが)です。

平和主義者は市場にいるのかいないのかわからないくらいの存在感で過ごし、午後からは製材所に行くのです。

前に買ったカエデとトチとをトラックに積んでもらいます。

形がデコボコなのであんまり転がりませんが、もちろんラチェットでしっかり固定します。

さあ、製材。こんな癖があって帯鋸も痛むかもしれない丸太を賃挽きしてくださるのはありがたや、ありがたや。

結論から言うとタイトルの通り、カエデもトチも全くダメでした。

トチはお昼ごはん代くらいの値だったのでまあいいとして、カエデは私にとっては清水の舞台からバンジージャンプするようなものである程度の値だったので悲惨です。

消沈の小生に製材所の社長が

「チップに出そうと思っていたサクラがあるけど見るかい?」

と提案。

まずは現物を見せてもらいます。

同じくチップ行きの杉の丸太の下に埋もれていました。

なかなか良さそうな丸太です。

「伐ったのは春だったかな?」

とちょっと不安なことを言われたので、社長に真ん中で切ってもらい、中も確認しました。

問題は見当たらず、赤身も皮の近くまで張っていました。

なんでも墓地の近くにあったサクラだったそうです。

そんなことはともかく、さっそく交渉成立で、当該の丸太はそのまま製材機の台車の上へ。

末の方の入り皮のところが難ありでしたが、節が出ることもなく、曲がり分を差し引いてもいい歩留まりでした。

同じく土場にあったシイ(椎)もよい丸太だったので社長と再び交渉。というか、

「いるかい?」

「欲しいです」

「いいよ」

みたいな感じでご厚意に甘えます。

4mの丸太だったので半分に切ってもらいましたがこんな感じ↓

こちらはほぼ欠点のない丸太です。

末の方は中から節が出てきましたが、元はほぼ中も無節でした。

素晴らしい歩留まりと品質です。

しかし、なんでまたシイはあまり使われないのでしょうか。

山にあんまり生えていないことは確かなのですが、それにしても建築にしろ、家具にしろ、工芸品にしろ、使用されているものをほとんど見たことがありません。

かく言う私も、数年前に柾に製材したシイは桟積みのままでまだ使ったことがないので、どんな材質なのかもよくわかりません。

撃沈した熟慮の買い物と充実した衝動買いの結果を確認したら、もう夕暮れでした。

そして20時を回ったころに家に帰りました。

そして今日、当然のことながらトラックに積んである板を下さなければいけません。

が、その前に今ある板を整理します。

風通しなどを考慮して(まあ、板を自然乾燥するならば絶好の開始時期ですが)、場所を空けます。

そんなことをしていたらもう昼を回っていました。おじさんの仕事が進みません。

結局、桟積みできたのはシイだけでした↑

木口(こぐち)の真ん中に鎹(かすがい)を打って、割れ防止の接着剤を塗ります。

・・・ペタペタペタ・・・

・・・チクショー。・・・乾くまでとっても白塗りです。

さあ次は・・・、ダメだったカエデとトチを下すのは木が重い…。そして厚く挽いてもらったのでなおのこと重い…。