山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

今回は木口も

 

座面の矧ぎ合せの準備がなかなか進みません。

ちなみに、昨日はムラ用で集落を取り囲む猪柵の整備で日中出ていました。

柵(網)もひと夏を過ぎると草や蔦に覆われて、どんどんと朽ちていきます。

その除草作業などを暖かい日差しの中していました。

でも山かげは寒かったよ。

 

本実矧ぎの「実」はできていましたが、溝はまだでした。

昇降盤で突き切ってはいけないので、ハンディールーターで開けます。

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ルーターマシーンが・・・ないものねだりを考えるのはよして、引き続き矧ぎ面の切り面をとります。

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今回は木口も切り面をしました。

そして、この木口が曲者でした。

先にアール取りをしなければならず、そのために3手間くらい多くかかりました。

ところで、なぜ矧ぎ面に切り面をするのか。

無垢の異種材を矧ぎ合せるときに特に必要な配慮なのです。

というのも、材の長さ方向(立木では高さ方向)は変化しませんが、樹種が違うと伸縮率が違うので、厚みが微妙にそれぞれ変わっていくのです。

そのため、目違い、つまり段差ができやすいのです。

ですから、厚みが若干異なっても目立たないように矧ぎ面にスリッドを刻んでおくのです。

長さ方向である木口面は特に「ずれ」が生じることはまずないと考えますが、今回はスリッドの意匠上のつながりを意識し、木口面にもやってみました。

座面に統一感がでる・・・はずです。