山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

夏野菜最後の種蒔きとエトセトラ

昨日から本格的に暑くなり、日中の日差しは刺すほどです。1時間も作業をして体を動かすと休憩したくなります。

まあ、夜はまだ涼しいので、なんとか体力はその日のうちに回復はできます。それが真夏との違いですね。

その昨日の夕方、体力も残り僅かになってきていたので、一旦家の中に入って冷たい十〇茶まがいのノーブランドのお茶を飲んでいたら、某公共放送でメロンの集荷場が特集されていました(夕方にテレビ見ているなんて「おい、暇か」と言われそう)。

それはマスクメロンの産地として名高いI県のH市の選別現場で、オートメイション化された等級分けの様子を伝えるものでした。

「やっぱり主産地だけあって設備の規模が違うなあ」「今の選別はこうやってやるのねぇ」「光センサーで糖度が読み取れるようになって、形だけでなくやはり糖度が重視されるのかぁ」なんて感心しながら見ていると、テレビの中では極上品種の話題になり、現地レポートのアナウンサーが言うには

「極上のものは○○と名付けられ、このような桐の箱に入れられて出荷されます」

・・・映像を見た私は目が点。

いや、それはファルカタ集成材。そうめんの箱で日本人のほとんどが勘違いしているけど、桐とは似ても似つかない外国の木材です。

取材をしたJ〇の人に言われたんだろうけど、公共放送さんももう少し勉強してほしいなあ(そこは「このような木箱に納められて」としてください)。

まあ、木工をやっている人間からすると、このつっこみはよくあるご愛敬レベル。問題はその後、レポーターは続けました(発言は要約です。公共放送さんの発言・発話は現地レポートであれ、当然ながらもっと完成された「文章」です)。

「この○○ブランドのメロンは昨年、この選果場で選別された430万玉のうちの80玉、率にすると0.002%のとても貴重なものなのです。なぜこれほどまでに少数しか出荷できないかと言いますと、基準がとても厳しく、大きさや形はもちろんですが、網目は全体にバランスよく入り、糖度はなんと20%以上というのが条件なのです」

一般にフルーツは14%でもとても甘く感じるはずですから、20%は驚異的。それだけでもとても素晴らしいものです。

私はメロンについては最低限の知識しかないのですが、そんな私がついでながらに解説をすると、マスクメロンのネット、つまり網目はたいへんに「技巧的」産物で、あれは玉の肥大に外皮が追い付かなかったためにできるかさぶたなのです。

ですから、ネットが入る以前に玉自体がきれいな球形をしていないと網は始めから寄ってきれいに入らないというのはもちろんですが、網目が入る時期には日照や気温(室温)による蒸散作用を含めた厳密な水分管理の上で「加飾」されるもので、均等に細かく網目が入るというのは実は超絶的技術です。

日本人は「マスクメロンにはみんな網目があるもんだ」と思っているかもしれません。しかし、そこには昼夜を問わない品質管理があるのです。

話が逸れました。テレビの話題に戻ると、レポーターは続けてお値段を伝えました。

「このような超、超高級品の○○メロン。値段はなんと数万円もするんです」

・・・私は先ほど以上に目が点になりました。

「え~、すごーい」

スタジオにいるアナウンサーも値段を聞いて驚きの声を上げます。

???全体のうちの0.002%の超超超高級品質のマスクメロンが数万円???

そして、なんでそれでみんな「いいお値段」的な反応をするの?そこは「え~、安ーい。安すぎて大丈夫?」じゃないの?

というか、なんで数万円? J〇の集荷場なので数万円というのはまさか小売価格ではなくて、市場での落札値なのだろうけど、少なくとも十数万円の間違いじゃないんかい??

細かく推察すると、8万円台や9万円台であれば「10万円近く」という表現になるだろうし、市況の様子で値段が上がって1玉でも10万円を超えたものがあったのならば「ものによっては10万円を超えた」と表現するだろうから、おそらく6~8万円までの間ということだろうか。

とすると、最終小売価格でも10万円半ばということでしょう(そりゃ、高級料亭やクラブとかで活用されるとわけわからんくなるが)。それも、本物の桐ではないにしろ木箱まで用意して。

選果場に持って行くのは農家がお金になるだろうと思うものを持って行っているので、その時点ですでに足切りはされていて「商品として価値のあるもの」が前提のわけです。

もちろん、選別を通って加工用になるものもある一定割合あり、贈答用は平均以上のものがそうなるのでしょう。

でも、でも、でも、もう一度繰り返してしまうけど、一大産地の430万玉のマスクメロンのうちの80玉で全体の0.002%ですよっ!

メロンは贅沢品や嗜好品であって、指定野菜のような日用使い商品作物ではないんですよっっ!!

ちょっと、もとい、だいぶ安すぎませんかね。そして、なんで周りは「いいお値段」みたいな反応になるの?

価格分布全体における超ハイクオリティー域の分散・偏差が小さ過ぎますよ。

じゃあ、世界はもちろん、日本の個人資産の分布を見たら、こんな値段で驚いている人たちはみんな眼ん玉飛び出て、顎外れちゃうじゃないですか。

もちろんこんな例を出したのはもっと平等社会になればいいという話ではなくて、もう一つ例を出すならば、和牛の中のA5ランクのさらにごく一部の極上品(全体の0.002%)の価格は和牛全体に対してこの分散・偏差で収まるかという話(和牛に交雑種を含むかどうかは議論の余地があるところとは思うが、カテゴリー内の占有率や代替財のある・なし、一般消費者のアクセス(消費量というわけではない)のしやすさということを考えると、むしろ和牛という括りではなくてホルスタイン種を含む牛肉一般にした方がいいのではないか)。

それほどまでにこの○○マスクメロンの価格硬直性が本来不可思議であり、さらには気付かないという摩訶不思議。

先の記述に反して、流通過程で最終小売価格は何倍にもなるのかもしれませんが、生産者に還元されないとなれば、どちらにしろマーケティングの大切さを物語っている気がする。

・・・

まあ、普段野菜をなんとか作る私には関係ない話か。本来のブログの記述に戻ろう。

昨日・今日の暑さの中で、おっさんはいろいろな作業をしました。

カボチャの種蒔き↓

ピンセットでポットに入れた土にぶっ挿していきます。種が大きなカボチャは種まきしやすくて大好きです。

ソラマメの片づけをしました↓

生体としてのソラマメは体積が多くて繁茂しているように見えますが、マメ科は概して消えやすい。

刈払機でぶつ切りにしてトラクターで耕すと結構、土に埋もれてわからなくなります。

同じように鋤き込んで片付けるカボチャやツルムラサキはロータリーに絡まってたいへんなのに、ソラマメはおとなしく土に沈みます。

薬撒きも始まりました。

昨日はエダマメ、今日はトウモロコシに散布をしました。

エダマメとトウモロコシは播種時期をずらしてリレー栽培しているので、これから先は毎週のようにこればっかりになります。

まだ赤ちゃんのようなネギも施肥や土寄せをしました。

畝間も土が乾いているときにしっかりと中耕・除草をしておかないと、梅雨で管理機が入れないうちに雑草のパラダイスになってしまいます。

アスターはようやく定植が終わりました。今年は20m畝が4本です。

このように、いろいろな作物がいろいろなお世話を要求してくる時期になりました。