桐で漆器の胎を作ると、始めに生漆をたくさん吸います。
はい、もったいないほどに…。
漆器だから当然といえば当然ですが、他にとれる手段はないだろうかと考えました。
・・・と、柿渋を思い出しました。
柿渋であれば、塗装時の浸透性も高く、乾燥すると硬化します。
ということは、一番最初に柿渋を浸透させることは理にかなっているのではないか。
・・・これはコストからの逃げではない、リスクに対する攻めだ(←自分に言い聞かせます)。
ということで、実験も兼ねて桐の木地とできたばかりの朴の器に、柿渋を塗ってから漆の工程をしてみることにします。
ちなみに、本当に堅牢性も増すのかどうか、弾性・耐久をみるために、桐材のテストピースも一緒に工程を進めます。
・・・ペタペタペタ・・・
あの頑丈な伊勢型紙だって柿渋のおかげであるわけですし・・・。
ちなみに伊勢型紙などの耐水性が必要な場合は燻したり、耐水性を確保する塗料を付すわけですが、こちらは地で覆ってしまうので、次の工程は拭き漆になります。
もちろん、拭き漆で仕上げる作品・製品の場合はこのようなことはしません。
拭き漆仕上げは、木地となる木の表情と生漆の色味の相乗効果の賜物であると思っているので、その間に柿渋が入ることは余計な干渉であると考えています。