山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

いよいよフィナーレ

日中は板の整理、夜は漆や組み立ての作業の毎日です。

何ができるか内緒にしていたこの「モノ」ももうすぐ完成です。

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前回の投稿で組み立てた下の部品に続いて、上の部品も組み立てました。

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そして、秘かに穴もあけました。

今日は、穴の中だけ木地のままで色が白く飛んで見えるので、筆で穴ぽこに漆を塗りました。

これで作業は終了。さて、これが何かお分かりになったでしょうか。

メタセコイアは有用材かもしれない

メタセコイアと桧の区別がつかない…(写真はメタセコイア)。

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メタセコイアはセコイアと同じように杉の仲間だと思って、杉みたいな表情と思っていましたが、とても桧に近い。

若干、桧よりもタイヒのほうが似ている気がするけど、隣に並べないと違いがわかりません(もしかして私だけ?)。

手加工をしていないので、粘りや抵抗などは確認していませんが、日本でとても好まれる表情であることは間違いなさそうです(まだ生だけど・・・)。

幅70cmの板目、40cm弱の柾目がありますが、もしかして蕎麦用のまな板に最適かも…(蕎麦を打つ趣味はないけどね)。

明日から雨だというし、表面もある程度乾いたようなので、樅は桟積みをしました。

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我ながら美しく積めた・・・と思う。木を積む時は美しさも大事です。

楢は雨が直接当たらない場所に立てかけました。

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半生くらいまで立てて、その後、桟積みしたいと思います。2ヶ月くらい先かな。

柚子の木の剪定

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1月の大雪でたくさんの枝が折れてしまった柚子の木を剪定しました。

もともと実のなる木にもかかわらず、上に上に伸びてしまって、高枝切りバサミを使っても収穫できないほどでしたので、良い機会です。

しかし、柚子の剪定ってこの時期でいいのかな、でも、虫もいなくてこちらとしては勝手がいい・・・。

脚立にのぼって、手ノコで枝を切るのは結構たいへん…。

・・・ギコギコギコ・・・

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君は何でこんなに武装をしているんだい。痛くってしょうがないよ。

・・・ギコギコギコ・・・

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写真では分かりづらいですが、半分ほどの高さにして、葉の付いた枝も3分の1くらいになりました。

去年が「成り年」だったので、今年は実がならないかもね・・・。

チェーンソーと土間ほうき

♪こ~のまま~、何日で~も、積~んでいたいけど~

板は製材所で積んでもらいましたが、乾かすのに適当ではないので、やはり積み直さなければいけません。

そこで必要なのが、チェーンソーと土間ほうき↓

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ほんとはホークリフトが欲しいけどね…、でも、うちはとてもそんな規模じゃないし。

チェーンソーはとても使えない板を切断して片付けるのに使います。

また、ほうきはおが屑を取り除きのに使います。

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とても地味だけど大切な作業です。

そして、積みなおす手段は人力…。

早速、ブロックはひとつ早々と討ち死にしました(私が上から重い板を落としてしまったからですが・・・)↓

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何から整理するか、それは樅(もみ)からします。

内部に「ねじれもめ」があり、どうしようもない板ばかりではありますが、色の変色を避けたいです(でも、「いまいちな板」の整理ってやる気が出ない…)。

少し厚めに挽いた板は条件が良さそうなところに余裕を持って桟積み↓

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薄い板は立てて乾かします。

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もちろん、こんなことをしても洗濯物みたいにすぐには中まで乾きませんが、この3連休は天気が良いようで、せめて表面だけでも乾かしたいのです。

とりあえず3連休中は立てておこうっと。

ただ積めばいいわけではありません。

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皮は虫のお家なので、除去します。

この皮をはぐ作業がとても手間がかかるので、今回は基本、「耳落とし」にしてもらいました。

でも、皮がついている板が案外多い。そして、柾目取りの場合、製材の都合で良さそうな板ほど皮がついています。

おっと、脂(やに)を発見↓

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どうしようもない板は焚き物ですが、脂が入っていると焚き物にもならないのに・・・(煙突が詰まる・・・)。

楢(なら)はこんな感じ↓

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程度の低いレッドオークよりもずいぶんとマシですが、道・露産楢材には遠く及ばないかな。

その前に、きちんと乾燥できるでしょうか、挑戦です。

早速、届きました

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早速、昨日製材した木が届きました。

・・・と、ここでイの一番にしなければいけないのが「割れ止め」です。

木工の世界では常識ですね。

まず、板目材にはカスガイを打ちます。

・・・ゴンゴンゴン・・・

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そして、すべての木口に割れ止め剤(ボンドだけど)を塗ります。

・・・ペタペタペタ・・・

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すべてに塗るのは結構時間がかかります。

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楢(なら)と樅(もみ)は柾で挽きましたが念のため塗りました。

・・・しまった、新しい手袋を使うんじゃなかった↓

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たぶん、今日この町で最もボンドを使ったのは私でしょう。5kgも使っちゃった。

その後、トタンをかぶせておきました。

これで、一安心です。これからは積み替えをして、乾燥に最適な環境にしていきましょう。

 

夜は漆もしました。こちらも、ペタペタペタ・・・

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今日は製材の日

市場で買った丸太がだいぶたまったので、今日は製材に出かけました。

写真が多いので、文章は控えめにします。

まずは桧、いってらっしゃい、・・・ウィーーン、ガアァァーー・・・

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う~ん、狙い通りかな。今のところ、ほとんど節はないし、ちょっとアオは深かったね。

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・・・ウィーーーン、ガアァァーー・・・

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芯に近づいたら節が出できました。まあ、こんなものでしょう。

次はナラ、・・・ウィーーーン、ガアァァーーー。

ちょっとショックだったので、写真はこれだけ↓

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虫食いが致命的だった…、oh…。

元々、柾取りでしたが、歩留まりはとっても悪くなりました。

さてさて、木を、じゃなくて気を取り直して、こんどは欅。

案外、形が悪いのね…。市では器量の良い面を上にして並べてあるからな…。

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 ・・・ウィーーーン、ガァアァア・・・

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oh…、ブルータス、じゃなかった、欅おまえもか…

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これは用材になる部分は少ないね。かろうじて小物にできるものが取れるか。

ひっくり返して、反対側からも板をとります。

・・・ウィーーーン、ガァァアア・・・

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 ・・・お、おおお。良いではないか、良いではないか。

45cm幅の赤身がムジで取れます、すばらしい・・・(もともと目のつまりも良い木ですし)。

次は樅、・・・ウィーーーン、ガアアアァ・・・

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節があるのは覚悟していたけど、これはね…

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芯近くは裂けがスパイラルに入っています。

この性はは全く用材にならない。裂けの周辺は焚き物。

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元々、柾で挽くつもりだったので、こちらも事実を受け止めつつ最善を尽くします。

最後はチップ君、・・・じゃなかったメタセコイア

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製材機の挽き幅を超えていたので、何回も転がされて、切られて、四角にされて、いよいよ本格的に挽かれます(製材所の皆様お手数お掛けしました)。

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おおお、これはすばらしい・・・

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60~70cmの無節もしくはほとんどムジで取れました。

メタセコイアって結構きれいだね、まだ生だけど。

幅広の板がたくさん・・・。ほとんどチップの値段で買った丸太が大化けしました。

乾燥のとき、虫やカビが入りませんように・・・、切に願います。

う~ん、やっぱり丸太で買うのは難しいですね。

自分の選木眼の浅さを痛切に感じます。

でも、とっても勉強になります。今回はだいぶショックな木もありましたが、経験としてはとても有意義でした。

 

毎年のことですが、製材の指示出しに慣れていない私をサポートしながらベストな仕事をしてくださる製材所の皆様に感謝、感謝です。

ということで、今シーズンの丸太の買い付けはこれにて終了です。

あとは今回製材した板が届いたら、積みなおして片付けるのみです(それが重くてたいへんで時間がかかるんだよ…)。