山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

2019年の製材

一昨日までは暖かい日でしたが、昨日・今日は一転して寒くなりました。

どうやら私が製材する日は例年、寒くなるようです。

ということで、昨日・今日で製材をしましたので、その様子を一挙に投稿です。

さあ、いってみましょう。

まずは杉からです↓

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皮がむけていますが、割れも広がっています。

恐らくは落雷で縦に亀裂が入ったのでしょう。

市では「宮木(みやき)」と言ってたっけかな。

うちは家具小物系なので、もちろん踏むところには使いませんよ。

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今回、この丸太は柾で挽いてもらいました(目的とする用途がそんな感じ)。

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中からいくらか節も出てきましたが、割れは思ったほどバラバラに入っているわけではなく、結構取れました。

矧い(はい)で使うので、こんな感じで十分です。

次は朴を3本挽きました↓

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期待していた1本目は・・・

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中から小節や中節が出てきて、板としては格落ちでした。残念です。

2本目はこんなもの↓

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径も小さいし、先の方はまずもって使えないかな・・・

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でも挽いてみるといい感じ。

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芯の部分の割れ・節ともにおさまりが良くいいものでした。

次は3本目↓

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こちらも芯・節ともにおとなしく、だいぶとれました。

次はコナラが3本。

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1本目は末がとっても小径木。

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コナラ全体の性(しょう)がわかりませんが、こんなものかな。

小節もあるけど、木理に癖があります。

優用材はあんまり取れないな…。

2本目はどうでしょうか。

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こちらの方が癖がありません。

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でも中央やや下のように、虫さんがご在宅でした。

でっかいカミキリムシの幼虫も出てきました(モ〇ラのようでした)が、写真は自主規制。

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虫穴をよけてイスなどの部材、小角で使うには良いでしょう。

3本目は長く(5mほど)て、曲がっていたので、3mで切りました。

その末の方↓

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さてさて、どうでしょうか。

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おとなしくて、素直な木目です。

このような板は乾かしやすいし、使いやすい。

でも、末の方が↓

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腐れが入っていました。

差し引き、「まあまあ」といったところかな。

3本目の元はどうでしょうか。

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写真はこれだけしかありませんが、無節でとても良い板がとれました。

コナラの自然乾燥の適正はわかりませんが、ねじれずに乾かせるでしょうか。

う~ん、製材の挽き口を見てもだいぶ硬そうなことは確かです。

ところで、コナラの匂いですが、ミズナラほど品があるわけではありません。

一方で、レッドオークやアベマキほど悪臭というわけではなく、可もなく不可もない感じです。

次は欅が3本。

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この丸太は去年の秋口の落札でした。

出品を考えると、伐ったのが8月か9月の初めと思われます。

だいぶ皮も剥けて、朽ちゆく感じ。

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・・・うん、とってもいい感じ。

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材としての硬さも「中庸」といったところでしょうか。

次も古い丸太↓

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こちらもいい感じ↓

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中央やや末の節は表に出ていたので、初めから織り込み済みでした。

だから、それ以外から節が出ていないのはとても願ったりかなったり。

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ただ、やっぱり古い丸太なので、木口には腐れが入りだしています。

とっとと乾かして最小限に納めたいところです。

3本目は5mを超えるついこの間買った丸太↓

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なかなかいいのではないでしょうか。

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・・・と、ここで残念。
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芯付近の割れが思いのほかひどく、周辺をせん断しています。

節は出てこなかったので、板で取るのでなければある程度使えそうです。

今年の欅は椅子やスツールを作ることを予定して丸太を落札したので、3本とも木目・性ともにその目的に十分叶うものと思われます。

最後は椨(たぶ)。

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大枝が出っ張っているので、散髪からスタートでした。

外見にもだいぶ癖があるので、製材所の皆さんにはだいぶお世話になって台車に乗せられました。

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まあ、こんなものかな。

椨って、見た目は「導管のない欅」みたいな表情をしていますが、オペレーターさん曰く「さくい」だそうです。

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製材の仕方にもよったのかもしれませんが、柾目である程度取れました。

でも、製材賃と運賃を考えると、取れた材料はだいぶ「コスト高」と相成りました。

板になった今年の丸太仕入れはこんな風になりました↓

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↑コナラが2本半分と朴、一番下が杉。

こちら↓の上に載っているのが欅3本分。

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そしてコナラの残り(一番良かった板)と椨。

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今年の結果は「まあまあ」のちょっと上だったのではないでしょうか。

大きな「はずれ」がなかったのも、安心しました。

丸太の「目利き」もだいぶ慣れてきたと思います。

費用的なことはもちろんですが、丸太で仕入れるメリットはいろいろ多いのですよ。

その意味でも、このような仕入れは当工房の強みと思います。

行ったり来たり

昨日は鳥取に行きましたが、道中の氷ノ山はあまり雪がありませんでした。

周りの山にいたっては雪が全くなく、3月の日本海側の感じはしません。

今日もとても暖かくなり、心配した天気は持ちこたえていました。

先日から始めた椅子の制作は材料取りです。

木材小屋と作業場が離れているので、お天気でないと材料取りはできません。

木材小屋から板を外に出して、大まかな寸法で荒取りします。

そして、作業場に運んで割っていきます。

つまりはチェーンソーとバンドソーの行ったり来たり。

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上の写真は栗と欅と桧です。

今回、桧は荷重がかかる場所で使うので、「良い板」からとりました↓

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まあ、糸柾(いとまさ)です。

一般的に針葉樹は木目が細かいほど硬くしまっているのです。

桧は杉ほどは春目・秋目の硬さの違いはありませんが、理にかなった使い方を心がけます。

そして、その他の部材も材料を取りました。

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左から桜、楢、朴、榛、黄蘗、欅です。

すべての材料取りが終わったので、雨や日没を気にせず制作ができます。

漆部屋では六角スツールの2回目の接着をしました。

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組み立てると嵩(かさ)が張るので、置き場に困るようになります。

早いところ箱詰めをして、重ねられるようにしなければ。

タイヤも交換して快適にドライブです

今年は春が早く来たので、例年よりも10日ほど早いですが、今朝、タイヤ交換をしました。

今日は市日で遠出をするので、燃費のことも考えて、早めにしたかったのです。

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だいぶ暖かくなってきて、シーズンも終わりです。

とは言っても、出品は通年あるので、買えないわけではないのですが、品質と乾燥の都合上、今回が最後の参加にしました。

今日は朴を1本買いました↓

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尺ほどの材なので、あんまり取れませんが、赤身がわりかし多かったので入札しました。

・・・今日はこれだけでした。

ところで、前回の市は都合がつかず、参加できませんでした。

しかし、市の前日に値段を入れていたので、その落札分も確認しました。

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この欅(ケヤキ)は値段を入れたときに出品票がなかったために、よくわからなかったけど、5m材で結構、材料ががとれそうです。

もう1本は朴↓

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朴は他にも値段を入れていたものがありましたが、落札できたのはこの1本だけでした。

ホントは市に参加した方が雰囲気もわかるし、多くの場合安く落とせる(競って確実にも落とせる)のですが、致し方ありません。

もちろん、相場を踏んで値段を入れるので、恐らくは市に参加しての落札とほとんど変わりなく落としているはずです。

まあ、品質とコストパフォーマンスを考えて仕入れるのは当然で「できて普通」ですね。

今日は快適になった車で、市が終わったら、鳥取までドライブしました。

暖かくて、とても眠くなりました(実際、途中で仮眠しました)

なぜ鳥取に行ったかは後日のお楽しみ。

本格的に制作に入れるかな

京都アートフリーマーケットは土曜・日曜とあいにくの天気になりました。

雨続きだったわけではありませんが、晴れたかと思ったら雨が降るような変わりやすいお天気で、気温も低く、来てくださったお客さんはたいへんな思いをしたのではないでしょうか。

作品の映える建物で展示ができることはありがたい限りです。

販売会が終わり、本格的に制作を・・・といきたいところですが、制作に割ける時間は限られています。

ちょっとずつでも作品づくりを進めましょう。

今日は六角スツールの接着が始まりました。

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前回と同じように、道具の都合で4脚ずつの接着です。

一時期よりも暖かくなったとはいえ、まだ気温が低いので、漆部屋でストーブを点けながら接着しました。

今日は他にも次の制作の材料取りを始めました。

次はシンプルな椅子を作ります。

例によってカラフルにしますが、直線主体で何となく懐かしい形になる予定です。

あまり椅子が重いと使いづらいので、今回のイスの前と後脚は栗ですることにしました。

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背もたれがある後脚は長くなるので、ちょっと木取りの仕方を考えなければいけません。

『2019 京都アートフリーマーケット 春』が始まりました

今日から『2019 京都アートフリーマーケット 春』が始まりました。

晴天にも恵まれ、さわやかな春を感じる一日↓

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青空に京都文化博物館の旧館が映えます。

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 京都文化博物館はもともと銀行(だったかな?)で随所に当時の面影があります。

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映画の撮影も良く行われているそうで、こんな中で展示される作品はとてもきれいに見えます(もちろんきれいに作っているのですよ)。

うちの展示はこんな感じ↓

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大きいゾーン↓

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小さいゾーン↓

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壁にも作品を展示できました↓

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文化博物館前の通りは西側に出店が続きます。

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残念なことに、今夜から降り出した雨が心配です。

明日の朝にはあがっているでしょうか。

京都アートフリーマーケットの開始は少し遅く、11時からです。

よろしくお願いいたします。

今日は寒くなりました

今日の明け方は雪が降っていました。

寒くて、いま出ているシイタケも凍りそうです。

 

ネット販売の準備や次の作品の図面描き、シイタケ栽培などをやらなければいけないので、制作はしばらくはのんびりです。

おかげさまでブログの更新がおろそかになっています(いつものことだけど)が、六角スツールの拭き漆が一段落したので投稿できました。

拭き漆が終わった六角スツール(中)の貫と芯の部分↓

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4回の拭き漆をしたので、だいぶ深みが出てきました。

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重厚感も出たところで、座面には錫粉(すずこ)を撒きましょう

・・・パラパラパラ・・・

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エッジが際立ち、印象がしまったところで、しっかりと乾かしていよいよ次回から組み立てです。

シイタケの原木

この1ヶ月、時間があると山に入り、シイタケの原木を玉切りして集材していました。

そして、今日ようやく、すべての原木を運ぶことができました。

年が明けてからの「玉切り~運び出し」で延べ7日ほどかかりました。

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200本くらいを予定していましたが、なんだか数が多そうです…(300余本かな)。

ただ、大小・長短まぜこぜ時々節ありありです。

特に太い丸太は運ぶ時の重さの恐怖からか無意識に短く切ったようで、とても短いです。

さらには山から下ろすときに放り投げ続けたので、傷だらけの泥だらけです。

早いところ植菌しないと、「まるで雑菌のテーマパークや」になりそうです。

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頑張ってくれたチェーンソーは目を立ててねぎらってやりましょう。

ここのところ刃が斜行する、つまり刃が片側だけ傷ついたために、うまく切れなくなっています。

素人の目立てなので、「余計に切れなくなるぅ~」と刃の悲鳴が聞こえるかも・・・?