山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

器量の良い木は作業がしやすいものです

器量が良い木は作業がしやすいのです。

今回のこの欅は目が細かく、比較的きれいな柾なので、刃物仕事が楽です。

外側の造形を作ります。・・・シャカシャカシャカ・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171030211836j:plain

形が決まったら、印籠を作り・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171030211842j:plain

豆鉋ですが仕上げのつもりで鉋まくらや鉋目を極力なくすためにもう一度鉋がけ、・・・シャカシャカシャカ・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171030211855j:plain

ひっくり返して菓子皿に使った時に、すわりで野暮ったくならないように、天は少しだけ二段風にしました。

これで刃物仕事はおしまい、毎回こんな器量の良い木なら楽なものです(そういう木をきちんと仕入れればいいのだけれどなかなかうまくいかないの…)。

ここからはサンドペーパーで磨きます。・・・シャカシャカシャカ・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171030212109j:plain

滑らかな面を目指すときはこの作業が長くつらい。

今回はサビで目止めをしないから初めの磨きだけですがね・・・。

合間に、お試しの食籠も少しだけ研ぎました。・・・シャカシャカシャカ・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171030212102j:plain

ささくれがあるといけないからやっているだけなので、こっちの磨きは今回だけね。

丸くなりました

この一週間、なぜか作業場と母屋にはカメムシが大発生しています。

とても気になり、集中できません。もう少し寒くなるとおさまるかな。

食籠は外側の形を作ります。まずは機械で楕円に切ります。

・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171028210023j:plain

小判型が少しかわいく見えます。その後、やっぱり機械で荒取りします。

・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171028210026j:plain

だんだんと丸くなってきました。

ここからは再び手作業。豆鉋で内側を滑らかにしていきます。

・・・シャカシャカシャカ・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171028210149j:plain

鉋が入らないところは彫刻刀等を使って形を整えて、終わったら、外側を同じく豆鉋で整えます。

・・・シャカシャカシャカ・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171028210122j:plain

あら、ちょうどいい大きさのサラダボウルができました。

f:id:yamanoimokkoubou:20171028210132j:plain

もちろん、食籠にはまだまだ途中の段階です。

離れの「改造」も徐々に進めています

建築の素人がやる離れの改装はリフォームと呼べるようなものではありません。

ほとんど楽しみ半分の「改造」です。

これまでたまに作業を進めていたのでなんとなく進んで、本腰を入れた今日は大きく前進しました。

天井を取っ払って、屋根の裏側が見えるようになりました↓

f:id:yamanoimokkoubou:20171028205856j:plain

和室2間の2Lでしたが、大きな空間が欲しかったので、まん中の「障害物」を取り払います。

・・・ゴンゴンゴン・・・と土壁を落としました。

f:id:yamanoimokkoubou:20171028205843j:plain

そして、土壁の骨だった竹と鴨居をのけました。

f:id:yamanoimokkoubou:20171028205907j:plain

ほら、広くなった。とっても開放的。この建物の梁は結構立派だなぁ~。

天井は屋根の垂木に合板を直付けします。

合板そのままでは照明効率がいまいちかなと思い、今回は白で塗ることにしました。

嫁さんと一緒に・・・ペタペタペタ・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171028210022j:plain

とりあえず白色であればいいやということで、ペンキをだいぶ薄めて使い、素人塗りなのでとっても味わいのある感じになりました。

こっちが本番の食籠

お試し食籠も一段落して、いよいよほんとに作りたい食籠に取り掛かります。

「お試し」と同じ欅(けやき)を使います↓

f:id:yamanoimokkoubou:20171026203312j:plain

今回の方が共木(ともぎ)だけど、追逆目もそんなに顕著ではなく、ちょっとは良い部分です。

ただ、四方柾(しほうまさ)の材料はないので、上下だけ柾です。

まずは内側。機械で荒ぼりしたあと、丸鑿で線までほり込み、形を整えます。

f:id:yamanoimokkoubou:20171026203335j:plain

・・・コンコンコン・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171026203338j:plain

まだ曲面の直しが必要ですが、ある程度の形はできてきました。

食籠が形になりました

台風が過ぎ去っても台風一過にはならず、今日、ようやく青空がお目見えしました。

お試し食籠はちょっと間があいてしまいましたが、拭き漆までいきました。

f:id:yamanoimokkoubou:20171025204254j:plain

黒漆で塗ったのよ。

でもここまでいくのに結構工程がありました。

振り返ると、外側の形を作って、印籠を決めて、鑿痕をつけました。

f:id:yamanoimokkoubou:20171025204139j:plain

このあと、蓋の意匠を改めて決めて、鑿痕を入れました。

f:id:yamanoimokkoubou:20171025204142j:plain

開けるとこんな感じ↓

f:id:yamanoimokkoubou:20171025204246j:plain

「蓋は菓子皿として使えるように」という前提なので、もちろんすわりと適度な重さも考慮しています。

五年ぶりの大雨でした

今回の台風は当地では5年ぶりの大雨と暴風でした。

昨日の夕方から消防で出て、一晩みんなでムラ内をぐるぐる巡回していました。

家に帰ってきたのが明け方5時近くになっていました。

・・・ということで、以下の写真は昨日の日中の制作風景です。

「お試し食籠」の身の内側をほります。・・・コンコンコン・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171023073358j:plain

機械で荒ぼりをするので、そんなに時間はかからないです。

この「お試し食籠」は内側も鑿(のみ)のタッチを残します。

・・・コンコンコン・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171023073417j:plain

とは言うものの、荒彫りの時とは鑿を変えて、シャープな鑿痕にします。

蓋の内側もほります。・・・コンコンコン・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171023073408j:plain

ここまで行ったところで、台風来襲。

今日はまだ仕事場に行っていません。被害がないといいのですが・・・。

台風が心配です

台風が接近しています。

今回は暴風はもちろんですが、大雨を心配しています。

ここのところ、秋の長雨でほとんどお日様が出ていませんでした。

これでは大雨が降ると山の保水力がないので、すぐに川の水位が上ってしまいます。

何とか台風の通過まで水がつかない(出ない)ようにと祈るばかりです。

 

スツール作りが一段落したので、今度は別の課題をもって制作にあたります。

今回は厨子を作ります。ここでは欅(けやき)の板を使います。

f:id:yamanoimokkoubou:20171021210221j:plain

一見良さそうですが、幅広材(はばひろざい)は芯持(しんもち)で、追逆目(おいさかめ)がひどく、とても癖があります。

このような板はそのままでは野暮ったいので、ちょっと意匠を工夫することにします(もちろん芯は去ります)。

ちなみに、厨子を作るのは「祈りのかたち」を考える端緒にしたいという思いは言うまでもないですが、やや建築の要素がある構造を勉強するのにとても良いと思うからです。

並行して、注文のあった菓子入を作ります。

でも、久しぶりの「ほったもの」構造は心配でもあるので、ちょっと復習がてら前座を・・・

f:id:yamanoimokkoubou:20171021210228j:plain

こちらも追逆目の困り者ですが、これを使って私の記憶をダウンロードしながら制作します。

そして「蓋が器になる菓子入」という注文でサイズすらこちら任せなので、大きさ等も確認します。

ところで、この注文は「食籠」ということでいいのかな・・・(それくらいのサイズで作ることにするけど)。

・・・わたしゃお茶については無学なのですが…。