山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

『伝統工芸木竹展』の当番と搬出

長らく開催されていました『第17回 伝統工芸木竹展』の神戸展に、当番として行ってきました。

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会場の竹中大工道具館新神戸の駅近くにある竹中工務店様の施設です。

新神戸駅は六甲山麓南側に建設された新幹線の駅です。

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ここから南へ坂道を下ると神戸市街地、三宮ですが、新幹線の駅のために長距離バスのターミナルを地下に併設しているので、傾斜地の建築と相まって、複雑な構造になっています(慣れないからかな)。

竹中大工道具館は、そのような神戸の喧騒とは対照的に、表向き平屋建て(地下2階)の建築でとても静かな佇まいです。

館内は大工、特に宮大工や手仕事に重きを置いた展示で、多くの「実物」が陳列されているため、非常に視覚的にわかりやすくなっています(館内は撮影可)

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また、伝統的な茶室建築の構造(木部)の紹介もあり、非常に木工関係の勉強になります。

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今日は当番ということもあり、残念ながら見学する時間はほとんどありませんでしたが、時間が許せば是非とも映像資料等を含めて、しっかりと見学したいものです。

また、本館だけでなく、庭や「休憩室」とされた建物もとても品があり、気持ちの良い環境です。

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休憩室の軒先には関西在住の作家さんのイスが並べられていました。

建物はどれも伝統的な意匠を基調に現代の技術・工法・利便性を有効に活用しており、こちらも勉強になります。

例えば、天井は無節の吉野杉を使っていましたが、木竹展で使用されたエントランスのスペースは垂木風にしてギャラリーの可動照明を隠しつつシックな雰囲気に、休憩室は板目を敷き詰めてさらに明るく軽快な雰囲気にするなど、建物のディテールも工夫されています。

一方で、材料の使い方も一見すると目立たないながら、十分に配慮されています。

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楢系の外国材(オークの一種)ですが、無垢の板を階段や床面に敷き、落ち着いていながらも古くはならない演出は非常に感心しました。

無垢の板は年月を経るにしたがってさらに味わい深くなっていきます。

オークはその最たるものと思われ、将来の見え方にも気を配っているのが拝察されます。

木竹展の展示は写真撮影は不可なので、画像はありませんが、こちらも非常に勉強になりました。

近畿では本展の巡回展(京都・大阪)を含めて、主に近畿圏在住の作家さんの作品しか拝見できませんが、このように全国の木竹工の諸先輩方の作品を拝見できるのは、その産地や系統の違いを含めた技法・装飾・配慮・演出の差異を知るうえでとても有意義なことです。

当番の方は何とかこなし(たはず…)、自身の糧になる一日でした。

最近、やっぱり制作の方がおろそかになっていますが、続いていた様々な「イベント」も一段落しました。

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集塵機のモーターもベアリングを替えて据え付け(ベアリングを替えるのに大分てこずっってしまった)、これで、条件としても制作に打ち込めるはず・・・です。