山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

拭き漆をしています。

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たまには木工関係をしよう

先ほどからブログ関係のことばかりだったので、先ほどやった仕事の写真もアップします。

写真は拭き漆(ふきうるし)をした材料をムロの中に入れている図です。私は漆を専門としているわけではないので、押入れムロですが…。

ご存知の方も多いともいますが、漆は乾かすといっても水分やアルコール類の蒸発・揮発によるわけではありません。生物的な(酵素の)力を利用して硬化します。最適温湿度は25℃/80%くらいです。ということで、この時期は大体乾いて(硬化して)くれますが、冬場は加温/加湿が絶対条件です。

ただ、このようなことをいうと漆の職人(塗師ぬし)さんたちにおこられてしまうかもしれません。塗師さんたちは温湿度は乾く速度だけではなく、光沢にも影響するので、年中、とても繊細に温湿度管理をしておられます。

私が今やっているのは拭き漆なので、そのような繊細さにはとても及びませんが、それでも毎回、光沢や表情は異なってきます。漆に関しても、教えられることが多い毎日です。

ちなみに今回拭き漆をしている材料は、タモでできた小さな棚で、今日のお昼過ぎに目止めサビを研いだものです。この材料は縮み杢(ちぢみもく)が出ているのですが、その表情をタモ独特の力強い木目が邪魔をしているような気がしたので、目止めをしました。