山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

2018年の製材(その2)

この時期は暖かい日もあろうに、私が製材をするときはいつも寒い日です。

一昨日に続いて、今日も雨が強く降り、そして寒いっ。

初めに断っておきますと、この投稿はとても長いです。

 

まずは前回の投稿で載せられなかった欅1と桐の「完成図」から↓

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桐はこんな端っこの部分もあります。

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桐は雨ざらしにしても虫や腐れが出ないので、こんな物でも残して雨ざらしにします。

欅2はこんな感じ↓、なかなかの幅広材になりました(まあ、白太は深いんだけどね)

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今日はここから、欅その3

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この材は半分に小節が多く、半分はきれいです。

そういう丸太は製材のセオリー通りではなく、角度を変えて台車に乗せます。

さて、どうなるかな?

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・・・あら残念、大きな虫さんが工事していました。

反対側の小節はこんな感じ↓

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もちょっと「ふしだら」だったらよかったのに・・・。

でも、欅3も中から厄介な節が出てくることはなく、虫穴が出た以外は歩留まりがよろしかったです。

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もともと目もつんでいたので、幅広材ではありませんが使い勝手は良さそうです。

お次は桧(ひのき)その1

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根元の方が腐っていました。

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お陰さまで側もスーッと腐れが入っています。

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節もまあまあ出てきたので、優良材ではありませんでした。

元が安かったとはいえ、う~ん、いまいちです。

次は同じく桧その2

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写真ではわかりづらいですが、この木は目がよくつんでいます。

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半身はほぼ無節で、半身は末半分に大きな節がありました。

オペレーターさんが丸太の性をよく見て製材してくださっているので、極力、節が板目に出ないようになりました。

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芯の方の節はしょうがないんだよね。

ちなみに桧1桧2の芯は45㎜角の垂木に取ってもらいました。

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ちょうど、小さな木材小屋の屋根を作ろうとしていたので、その役物になります。

お次は種類が変わって栗です。

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この栗その1は市の時、ある程度の径があるし、「いいな」と思って買いましたが、後でよく見てみると元の割れと目廻りがひどく、まともな板がとれないのではと思っています。

欅3の時と同じように、製材のセオリーに反して、角度を調整して挽きます。

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丸太も古かったし、芯割れのところは腐っていました。

また、虫さんの苦労の痕もありました。

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市の後とはいえ、丸太の悪さに気が付いていたので、「まあ、こんなものか」といったところです。

そろそろ丸太と板の写真ばかりで、だんだん違いが判らなくなってきましたが、次は栗その2↓

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この木も(写真でもよくわかるほどに)変形しているので、角度を変えて挽きます。

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おおっ、思った以上に素晴らしく良い丸太。

丸太時の写真の左側は良い板が取れるとは思っていたけど、反対側の変な形の方も無節の素晴らしい板がとれました。

この丸太は、出来栄点は満点の3.0が付きました。

さらに栗が続いてその3↓

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これはさらに癖があるので節は出てくるよね~、そだね~。

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でも、これも良い板がとれました(真ん中の板は欲張って挽いたら芯が出てきたのです…)。

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栗の板の山↓

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栗の良い板がたくさんとれたなぁ~。これは良かった。

さて、趣が変わって楠(くす)です。

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なんだか女性的な外見をしています。

末にも元にも入り皮があり、まずもって長尺の板はとれないでしょう。

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楠特有のにおいが辺り一面に立ち込めます。

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でもまあ、予想していたよりも、使えるところは多くなりました。

一応、板として存在できるレベルです。柾使いの引き出し材ならば十分すぎるほどです。

今年の製材も終わりが見えてきました、黄蘗(きはだ)↓

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小径木の目が粗い丸太です。

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黄色が鮮やか、眩しいっ。

おっと、こちらも思っていた以上に良い板に↓

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末の枝分かれ以外は節が見当たりません。出来栄点はほぼ満点。

楠と黄蘗はこんな感じ↓

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いよいよ最後の桜です。

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曲がりがきついので、途中で切断されています。

そもそも小径木だし、表面の見た目は悪いしで、あまり期待できません。

積み木くらい細かく材をとるなら問題ないでしょう。

最後だし気楽にいきましょう。

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あれ、内側からは節が出てこないや。

写真はとれませんでしたが、この材料も出来栄点が満点に近い丸太でした。

今年の製材は総じて成績が良く、事前予測よりもだいぶ良い素晴らしい結果となりました。

使うのが楽しみな板も多く、重くて辛い木を積む作業もいくらか気持ちが楽になります。

毎年こんな感じだったらいいのにと思うような一日でした。