昨日に引き続いて、3月2日に行った製材の様子をお伝えします。
次に挽いてもらうのはニッキ
末口で35cmくらいの丸太なので、少し小ぶりです。
・・・スライス、スライス、スライス・・・
正直、ニッキは使ったことがない、というか、そもそも板でも見たことがなかったので、予備知識がありません。
この丸太は目がとても細かく、硬さをのぞけば栂(つが)のようにも見えました(あくまで「生」での所見ですが)。
上の写真のように、赤身はややピンクで、芯部は暗褐色を帯びていました。
この木もほとんど節の出てこない丸太でした。
次は桑、今回の丸太の中で立米単価が最も高かった木です。
玉杢(たまもく)が出てくれるといいなぁ、でもそこまで大径材ではないので難しいかな。
わくわく、・・・スライス、スライス、スライス・・・
このように木の表皮部が凸凹した丸太は玉杢が出てくる可能性があるのです。
期待していたほどには玉杢が出てはきませんでしたがそれでも「ほのか玉杢」がつきました。
この桑は木目も細かく、節のほとんどない良い板が取れました。
元口に芯腐れがあった割には、芯持ち部も結構きれいです。
いよいよ登場の「腐った欅」(←こう表現するしかないのです。)
製材機の台に載せるのに「こぶ」をチェーンソーで落としたり、フックで転がしたりとたいへんです。
・・・たいへんなのは製材所のスタッフさんです。私はただ見ているだけです。
おそらく市で私が手を挙げなければ、割られることもなく、即刻チップ送りだったでしょう。
割られる前に、何べんも転がされて、こぶを切られていますがこれだけでも幸せでしょう。
この丸太は、「腹上」の製材セオリーとは異なり、もっともましな板が取れそうな面から板を切り出していくことにしました。
丸太の製材では見えない木の中を想像しての木取りが命なのです(・・・ようやく施主らしい仕事をした)。
・・・スライス、スライス、スライス・・・
おっ、ややどぎついバール(こぶ杢)が登場しました。
これは大当たりか?
皮の間からヤモリさんも登場です↓
家主さんのヤモリさんには悪いですが、「大豪邸」は只今解体中です。
芯も腐れているし、どこまで板が取れるかなぁ~。
・・・スライス、スライス、スライス・・・
おっ、こ、これは・・・
長さは取れないけど、すばらしい板だ。
ETの顔ではありません。その間が重要です。欅の玉杢です。
結局、腐れも心配したほどは出ず、幅広板が取れました。
両側から攻めて、さらに、木端側からも攻めます。
幅は25cmと狭くなっていますが、玉杢も散見される良い板です。
木端は芯腐れがどこまで入っているか分からないですし、乾燥の都合もあるので、やや薄めに挽きました。
結局、この「腐った欅」は大当たりでした。
きちんと乾燥できたら末端価格では〇十倍の大当たりです。
いや~、運が良かった。今年の運を全部使い果たしたかな。
・・・ここで昼食・・・
丸太、僕はもう疲れたよ・・・。
実は今日の製材の高揚感で昨日は3時間しか眠れていかったのです(←小学生かっ)
ほんとは本職(木材やさん)とは眠れなくなるまでの丸太の価格の「0」の数が違うので、笑われそうです。
最後は杉。
丸太はこんな感じ↓
建築やさんは見向きもしなかった杉です(こんなんばっかり買っていますが)。
この丸太の元側半分には異常なふくらみがあるのです。
建築やさんは芯持ち柱材、もしくは四方柾目柱材で取るので、このような丸太は嫌うのです。
こちらは、木工やなので、板材、2m以下でよいので欠点部分は無視できます。
・・・スライス、スライス、スライス・・・
予想通り、節のない良い板です(幅広だしね)。
丸太のときで分かっていますが、木目もつんでいます(写真は側柾での表面)↓
40年くらい前だったら「それなりの杉箱」ができそうな柾板です。
参考までに、貴重品用の箱は桐で作ることが多いですが、杉の箱もいいものです。
特に、秋田や吉野のすばらしい杉材を使用したものは品格があり、箱ですが鑑賞して十分楽しむことができます。
・・・スライス、スライス、スライス・・・
やっぱり出てきました。大きな欠点。
でも、折込済みですし、全体の4分の1。しかも割れをしっかりと避ければ柾板も取れます。
杉は「耳落とし」にしてもらいます。
つまり、皮部は切り落としてもらうのです。
というのも、杉の皮は広葉樹と違ってむきづらいのです。
今回の製材では丸太がこのようになりました↓
ニッキ
桑
「腐った」改め「大当たり」の欅
杉
写真では大きさが分かりづらいですが、どれも結構幅広の板ばかりです。
参考までに、杉の山の一番左上の角材が160×155です。
いや~、今年は良い仕事だったなぁ~。
製材所の皆様、たいへんお世話になりました。