山乃井木工房:岩井雄介のいま何作ってましたっけ

京都丹波(京丹波町)の山村で木工をするあるつくり手の備忘録

もみじクラフトに行ってきました<3>

クラフトフェア出展の投稿のコマーシャルをはさみました。

続きです。

心地よい日和の中で1日目が終了、後片付けです。

作品をテントの内側に引っ込めて、作品に毛布や布をかぶせて、テントを下げました。

ここでも屋外クラフトフェアの素人であることが露呈しました。

普通は天気の急変にも対応できるようテントをビニール幕で囲って、ペグ等でしっかり固定するようです。今度は準備してきます。

午後6時、はかばかしくない売上なので宿泊でお金を使うのは心が痛みますが、予約した宿へむかいます。

地図上で見ると15kmないくらい、ものの20分くらいかな。

走っても…走っても…。

日も沈み、45分くらいのドライブになりました。眠いです。

信濃は谷が深く、国道もくねくね・起伏が激しくて、思ったようには進まないのですね。

1泊2食3000円台半ば

今回、泊まるところは1泊2食で3000円台半ばの料金です。

とてもリーズナブルです。びっくりです。

何があってもとりあえずは話の種になりそうなので、期待していました。

いたずらに写真を投稿してしまうのはよくないので1枚だけ。

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たぶん、この近辺の宿泊では有名で、宿泊サイトで検索すればすぐにわかると思いますが、私のつたない文章にてお送りします。

建物は半木造(多分)、半地下を含む3階建て。

この街自体に情緒がありますが、ここからさらに昭和にタイムスリップです。

エントランスというか玄関はガラスの引き違い戸で、ガラスには屋号が書いてあります。

がらがら…。

「ごめんくださ~い」

玄関脇に置かれた水槽の大きなカメがこちらを見ています。

「おばあちゃん、お客さん来たよ~」

奥から声がして少しの間を置き、玄関すぐ左の階段からおばあちゃん登場。

このおばあちゃんが宿を切り盛りしているようです。

「いらっしゃいませ。履くものは下駄箱へ入れ、スリッパを取ってください」

おばあちゃんは玄関の斜め右奥にあるカウンターへつき、宿泊名簿を書くように促します。

カキカキ…。

料金は先払い式です。

「お願いします」

「こちらへどうぞ」

客室のある半地下に案内されます。

一昔前の鉄筋建て役場のような少し急な階段を下り、薄暗い通路へ。

左手が洗面所とトイレ、右手が浴場というか風呂場です。

その先が石畳調になっており、客室。右と左と奥の3室です。私は右の部屋。

格子戸とふすまの2つの戸をあけ部屋へ。この部屋が上の写真です。

団地間よりも一回り小さい畳を8枚しきつめてあり、床があります。

テレビは後からやってきたのでしょう、床の壁に穴をあけて線をとってあります。当然、アナログです。

なつかしのテレビ台はメーカーのロゴがあります、「SANYO」。ただ、テレビは2代目でしょうか、製造元が異なります。

きちんとポットとお茶が用意されています。

布団は敷いてあり、掛け布団のシーツはまん中が空いているタイプで花柄のお布団が見えます。

安全ピンで留めてあります。安全ピンの端には定石のカラフルなカバーがついています。

「ご到着が早かったので夕食がまだ用意できていません、先にお風呂に入ってください」

では早速、お風呂へ行きます。でもその前におトイレ。

部屋を出て、廊下をもどってトイレへ。引き違い戸をがらがらとやるとやはり水色タイルです。

この場合、履物は便所サンダルかTOILETと書いてあるビニールのスリッパ。ここでは後者でした。

小便器にはテッパンの緑のコロコロが入っています。

トイレを済ませ、部屋にそなえてある花の絵の入ったバスタオルをもってお風呂場へ。

自分の家のような脱衣所はかごが2つ置いてあります。おっと、忘れるところでしたうち鍵。

引き違い戸をガラガラと引くとお風呂場が現われます。蛇口は3箇所ありますが、その内の1つしかシャワーがないのでそこで体を洗い、浴槽に浸かります。

浴槽はたぶん桧風呂で、浴槽の蓋は7枚の板。そうでした、入るときだけ蓋を開けて出たらすぐ閉めるルールはここでは健在です。

蓋を開けるとお約束、鮮やかな緑の入浴剤入り。はずすところがありません。

お風呂でさっぱりとしたあと、部屋にもどると間髪要れずに内線が

「お食事の用意ができました。さめないうちに、2階へどうぞ」

どこかで見てました?まあ、急いでタブレットの充電の用意をして、階段を上り、さらに2階へ。

2階は昔、炉辺焼きのお店をしていたようです。やや大きめのコの字型のカウンターと座敷があります。

カウンター席上にはそれぞれ照明が下がっています。

業務用のクーラーは据え置き型で、もちろん外見は木目調プリント。

おばあちゃんの往事がしのばれます。

座敷に食事が用意されています。今日はチキンカツです。4つものっています。

ご飯は小さいおひつにあり、自分で盛る形式です。その量は1人1合やや強め。

サラダにはマヨネーズ、お汁はおすまし風でおおぶりに切った木綿豆腐が入っています。間違いありません。

宿泊しているもうひとりの方としゃべりながら食べました。おなかもすいていたので、もちろんすべていただきました。白いご飯はとてもおいしいものでした。

階段を下って「ご馳走様でした」というと

「朝食はいつごろ準備させていただきましょう?」

「いつ出発するかまだ考えていません」

「では、内線をしてください」

部屋に帰って、明日の予定を考えます。会場まで案外距離があるので、なるべく早いほうがよさそうです。朝食は最も早い6時半にさせてもらいましょう。

受話器をとって、1番をプッシュ。

「はい、もしもし」

おばあちゃんの元気な声です。

「朝食は6時半にお願いします」

「6時半ですね」

おばあちゃんの声にエコーがかかっています。

おばあちゃんどちらもよく聞こえるよ、地声と電話の声が。

ここは田舎の家よろしく、ふすまを開けて廊下に顔だけを出して大きな声で叫んだほうが早いのではないかとも思いますが、電話を続けます。

「はい、6時半です」

「じゃあ、6時半に準備しますから。寝坊しないように早く起きて、しっかり6時半に来てください」

・・・わかったよ、おばあちゃん。僕、早く寝て、ちゃんと早起きするからね。

はみがきをします。おトイレの隣の洗面所に行きます。洗面所の蛇口にも時代を感じます。

この場合、その蛇口をひねると勢いよく水が出るかなかなかでないかの2択です。

後者でした。

そして、鏡はガラスの内側に黒い模様が現われています。昔の鏡はこのような模様がいつの間にか発生していました。

はみがきも済ませ、わずかな仮眠しかとっていない私はもう限界です。アナログテレビも見る気になりません。

布団に入ります。まどの障子には外の低木・喬木の影が映ります。

小さいころはその影がいろいろな形に見えて眠れないところでしょうが、今日は9時すぎには熟睡していました。

・・・

朝は目覚ましで時間通りに起きれました。おばあちゃん、僕ちゃんと早起きしたよ。

朝ごはんはたまご、おつけものとお味噌汁。

お漬物はおなすで意外にも塩味やや薄め、お味噌汁はうれしい具の多いものでした。

もちろん、ご飯はおひつに1合やや強め。

やっぱり、すべておいしくいただきました。

本当はもう少し長居したかったのですが、はみがきをしてすぐに出発しました。

いろいろなことを思い出すにはとてもよい場所です。

駒ヶ根にまた来たときには利用したいと思います。ありがとうございました。